めぐりくる生命の物語 〜伊吹野によせて〜 曲解説

1.また明日そしてまたいつの日か 
この曲は自分の中で純粋に思いついたメロディーをもとに曲を作ったもの。 その頃知り合った仲良くしていた友人が、この曲を聴いたとたん仲良かった友人との約束を思い出した。 「学生時代のテニス仲間と、明日もまた一緒にテニスやろうな、そして大人になってもまた一緒にテニスやろうな、 とお互いに約束してたんや」と言い出した。懐かしい夕日のような曲だけどもタイトルどうしようかな、 と考えていたところだったので彼女の言葉を抜粋してタイトルにした。
2.茜色のメロディー 
滋賀県長浜市のハウスイゲというレストランで見かけた山本信子さんの写真、 それに触発された堀井隆江さんの詩。その素晴らしさに驚きまた、 この二人の作品を形にしたいと考え彼女たちと、詩集であり写真集であるジャケットと詩人に よる朗読であり曲集でもあるという全く新しいCDを制作しました。その作品のために作った曲です。
1年という短い時間の中で一生を終え、世代を引き継ぎ地球で暮らしている赤トンボが、 夕日を浴びて枝に止まっている。この何気ない風景は永遠のものではなくいつなくなっても おかしくないような儚い景色なのだ。それを見ている私たちも含めて・・・。
3.極光の天使 
2008年私はおだこうへい氏と二人の仲間と「創造の交差・展」を企画していた。 私が作品に感動した作家たちと作品展を開催し、作品に寄せた曲を作品を前に演奏、 作家による作品解説をするという展示会だった。おだこうへい氏が描かれた極光の天使という作品は、 地球を電磁波から守っているオーロラに一対の女神が蝶の羽のように向かい合っている作品で、 この作品に寄せて作曲したもの。
4.残り灯 
木々の間よりこぼれるかすかな民家の灯。友人が、 このようなしっとりとした夜景が好きだと話していた。 真田町から東部町へ抜ける4号線(旧有料道路)から見た夜景を 彼女のイメージと重ねて作曲したもの。初鹿照子さんの朗読に よる藤沢周平『おとくの神』の伴奏でテーマとして使った。
2001年 第13作
(CD解説より)
5.蛍の星空 
2001年6月、長野県小県郡丸子町。私は、初めて蛍の光の中に立った。 この時期にしか、そして澄んだ流れの中にしか見ることのできない幻想的な 世界。蛍が求愛のために光っている、それは彼らにとっては生きるための 行動でしかない。私達はこれ以上、他の生き物の居場所を奪ってよいの だろうか。私にできることは水を汚さないことと、蛍の美しさを伝えて いくことだ。タイトルはピエール・ブッシュ氏による。 彼とはこの日初めて出会い、共に蛍を見た。彼の「芸術家!曲できたか!」 という言葉からこの曲を作り、彼は1週間後、栃木県からこの曲を聞きに来て くれ、タイトルを付けてくれたのだ。
2001年6月28日 第16作
(CD解説より)
6.五月雨と藤の香り 
雨が降っていた。出かけるのもめんどうだった。彼女が「曲を作ってくれ」 と言う。私は「いやだ」と言った。やがて、彼女が戸を開けた。 「藤が咲いている。香りがする」と彼女が言った。私は、どんな時にも 心を開いて幸せを感じる彼女は、すばらしいと思った。私はいつもその 暖かな心を持っていてほしいと願いを込めて、この曲を作った。 しかし彼女は、「天の贈りもの」が気に入っていて、いまだにああいう曲を 作ってくれと言っている。
2002年5月 第20作
(CD解説より)
7.伊吹野幻想 
滋賀県長浜市のハウスイゲというレストランで見かけた山本信子さんの写真、 それに触発された堀井隆江さんの詩。その素晴らしさに驚きまた、 この二人の作品を形にしたいと考え彼女たちと、詩集であり写真集であるジャケットと 詩人による朗読であり曲集でもあるという全く新しいCDを制作しました。その作品のために作った曲です。
おばあちゃんが押していた乳母車が山の畑にぽつんと置かれている。その乳母車を押していたおばあちゃんは もうこの世にはいない。カメラを向けるといつも愛想よくこっちを向いてくれたあの人がいた時間は、 幻なんだろうか?私の心の中にある、あの時間は永遠なのだろうか?
8.木もれ陽 
谷口史香さんは、私が大学で単位を落としたスポーツで知り 合った後輩だ。2001年1月13日、彼女は、お金の無い私に、 「お祝いはいらないし交通費も出す、ギターを持って来て」と言った。 私は長野から北九州に行って、彼女のために披露宴で演奏した。 そして、引き出物を立ち寄った本屋に忘れて来たのだった。
2001.1.13初演 第9作
(CD解説より)