白柳淳作品集V 曲解説

1.私の夜空 
長野に来てできた絵描きの友人が、作曲もする人で、私に「夜のお星様が 私にくれた曲だ」と言って小さくきれいな曲を聴かせてくれた。その帰り道、 夜空を見ていると、私にも音楽が浮かんできた。夜空が私に曲をくれたので はなく、夜空を見て私がこの曲を思いついたと言っておこう。 まあ、どっちでもいいのだが…。
2000年11月 第3作
(CD解説より)
2.思い出はいつもやさしく 
思い出は、それがどんなつらい時のことでも、直面しているその時より つらくはなくなっている。今どんなにつらくても、いつかそれを過去の こととして振り返る日が来ると私は思っている。ピアノを両手で弾く のは難しくても、右手と左手が同時でなければやさしいのでは、と思って作曲した。
2001年 第5作
(CD解説より)
3.ガラスの向こう側 
ガラスの向こう側にあるものは見えてはいても決して手に触れることは できない。力づくでそれに触れようとしたらガラスは割れ、身は傷を負い、 割れたガラスは二度ともとの姿には戻らない。電子ピアノに右手、 左手と録音し、友人の八木君の協力で、二年かけてできた処女作。 アルバイト先のお好み焼屋で、割り箸の袋に書いたとは思えない主題。 私は何を考えて働いていたのだろうか。
1996年 第1作
(CD解説より)
4.夜の港で 
落ち込んでいた23才の私を、友人が大阪の堺港へ連れて行ってくれた。 夕暮れの海は、昼間目立っていた海水の汚れや浮かんでいるゴミも、 帳消しにし、街灯に照らされ、やがて幻想的な空間へと変わっていった。 昔は砂浜だったここは、埋め立てられ汚されてもなお、人を包む力を持って いた。私はここで主題を作り、近所でピアノの先生をしていた村田さんに 楽譜を見せて弾いてもらいながら、四年後長野でこの曲を完成させた。 村田先生がいとも簡単に弾いていくので、曲はどんどんかっこよく、 そして難しくなり、今回私が苦労したのは言うまでもない。
2001年 第4作
(CD解説より)